このコラボレーションが始まった経緯を教えてください。
伊藤:ご存知の通り、モデリスタはカスタマイズパーツの展開がメイン事業になっています。そしてモデリスタを愛用されているお客様の車だけでなく、ライフスタイルそのものを盛り上げ、豊かな彩りを添えていくというところも一つの狙いとなっています。これまでに日本を代表する腕時計メーカーである「セイコー」や、トヨタ系列でマリン事業を展開する「トヨタマリン」と協業し、それぞれMODELLISTAコラボレーションモデルを世に送り出してきました。第3弾となる今回は、初心に戻る想いで、カーライフ領域を拡大させる企画、つまり“ガレージライフ”の充実を図るための商品開発を目指すことになったのです。
ある意味、カーライフの原点に立ち返るような企画となったわけですね。ちなみに前回のコラボレーションから約3年経過しています。
ここに行き着くまで年月を有した特別な理由などはありますか?
伊藤:社内で動き始めたのは、2022年夏あたりからです。ガレージメーカーに提案に行くにあたっては十分なリサーチが必要ですので、入念に準備を進めました。ヨドコウさんをはじめ「物置・倉庫と言えばここ」と知名度の高い各メーカーのショールームを見に行ったり、住宅展示場を巡って最新の建築トレンドを調査したり、さまざまな業種の店舗を訪れ、内装デザインをチェックしたり。数ヶ月に渡りリサーチした上で、ヨドコウさんにファーストコンタクトしたのが2023年2月でした。
大森:「ヨド物置」を代表とする我々のエクステリア商品では、これまでにアウトドアブランド「Coleman」や「BEAMS DESIGN」、RIDE LIFEの総合プロデュースカンパニー「ムラサキスポーツ」など、他業種とのコラボレーションを展開しています。ターゲット層はアウトドアギアやグッズを厳選し、そのスタイルにも独自の美学を求めるこだわり派の人たちです。よって単なる物置ではなく、機能的でありながらデザイン性にも優れた“基地のような存在”を目指して開発してきました。これらの取り組みが評価され、今回モデリスタさんからオファーをいただくことになったと思っています。我々としても、よりデザイン性を高めたもの、価値あるものを展開したいと考えていた時期だったので、すごくいいチャンスだ!と興奮したのを覚えています。
伊藤:「こんなガレージを作りたい!」などと、現実を度外視した夢てんこ盛りの絵を描いていっても、箸にも棒にもかからないような話になりかねないリスクや怖さはありました。そこで構想やデザイン画を提案するプレゼン時には、あらかじめヨドコウさんのホームページから既存のガレージの説明書をチェックし、構造の仕組みや組み立ての手順などの前情報をしっかりインプットしておきました。それらを把握した上で、モデリスタの要望の押し付けにならないように、同じ土俵で話ができるように心がけていました。
とは言え、割と攻めた(夢や希望を乗せた)企画案を提出したわけですが、大森さんはそんな夢てんこ盛りの案にも真摯に向き合っていただきました。具体的にどうすれば実現できるかというアドバイスも的確で、この時点で「いい関係でやっていけそうだな」と明るい兆しが見えていましたね。
大森:初期のデザイン案には「SFアニメにインスパイアされたイメージ」でデザインされたものがあり、第一印象が「これ何!?」でした。型にはまらないデザインに私自身、瞬時に心を掴まれましたね。
自由な発想がさっと出てくる遊び心と、それが形となって表現できていることが、すごく面白いと感じました。ガレージや物置などのデザインに関しては、どうしてもできるもの、つまりある程度決まったフォーマットの中で進めることが多くなります。とにかく“できるだけ多くの人に受け入れられるデザイン”に落ち着きがち。今回はそういうある種のしがらみを取り払った、“刺さる人にはきっと刺さる”感性に、開発意欲を大いに刺激されました。
だからこそ今回のガレージに関しては、特に「デザインそのものに大きな価値がある」事を意識して取り組んでいました。伊藤さん(モデリスタ)の意図をどこまでデザインの中に取り込むことができるか。生産上難しい部分が出てくることも想像しながら、できる限り意図に添う方向性を探っていたからこそ、当然時間がかかる場面もありましたね。