デザインと設計技術それぞれへのリスペクトが醸成されて、MODELLISTA仕様のガレージが生まれたわけですね。ではここで改めて、新コラボのガレージの特徴や実際の設計・デザインで最もこだわった点について伺いたいと思います。
伊藤:今回のガレージは、ヨドコウさんの既存モデル「ラヴィージュⅢ」がベースになっています。この商品はコストバランスや施工のしやすさ、量産性といった実用面においても、とてもよく考えられたものになっています。
その上で今回のプロジェクトでは、これまでの組み立て式の物置や車庫のイメージを塗り替えるようなプロダクトを生み出したい想いがありました。だからこそMODELLISTAモデルでは、車を収納する箱としての重厚感や堅牢な雰囲気というものをどう表現するべきかが課題であると感じていました。これまでの製品は部材のシンプルな組み合わせでできているため、全体的に凹凸感があったり、つなぎ目に段差があったりするのは当たり前のこと。しかしながら私たちが考えるデザインでは、極力面ツラが揃っていることを重視します。つまり段差を少なくして、1枚の面の中にいろんな部品が精度よく収まることにデザイン美を見出しています。そのような細部の美しさにこそ、質の良さや仕立ての良さが醸し出されるわけなので。もちろんモデリスタの用品一つひとつにもその美意識は反映されており、今回のこのガレージにも、同じ“匂い”を落とし込みたいと考えていました。何気ないディテールにこそこだわりを表現しており、例えば四周フレームを極力シームレスにする事で、自然の造形ではない、意図を感じられるようなデザインに仕上げています。
大森:この極力継ぎ目を目立たないようにした設計はなかなか難しかったですね。特に柱と軒の部分との交差点、つまり3方向から交わる部分の付き合わせは部品合わせが困難です。加工上の誤差もあるし、組み立て上、ある程度遊びを設けないといけないため、外観の仕上がりに影響する可能性も高い。伊藤さんには継ぎ目に段差ができる了承を得ようとしましたが、彼は譲らず(苦笑)。「柱から同一でシームレスに上まで続くような意匠として作ってもらいたい」と熱望され、その想いに応えようと全力で向き合いました。細かく部材の寸法や角度を調整しながら、何度も試作品で収まりを確認し、ようやく最終形態に落ち着きました。
伊藤:今のモデリスタの方向性は、シンプルだけどテーマは明確。全体的な仕立ての良さ、俯瞰で見たときのものの出来の良さが、狙うべき世界観につながってくると思っています。コラボガレージは、車よりも要素が少ない“箱”であるが故、逆にディテールで勝負して、しっかり良いものに仕立てようという意識が高まっていました。マテリアルやトーンの組み合わせなど細部にかなり気を遣っていたのも、そういった理由からです。
大森:設計者として関わるからには、MODELLISTAのデザインという重みと価値を感じながら、こだわるところはとことんこだわっていくという前提で取り組んでいました。固定ビスや部材と部材の合わせ部分なども、デザイン上のノイズにならないように注意深く配慮しました。具体的には、例えばビスなら鋼板に合わせた塗装仕上げとし、また頭部の形状が薄く目立ちにくいものを採用することで、一見どこで留まっているか分からないよう仕上げています。また今回の製品には、窯業系のような質感を持つ疵付きにも強い特殊な塗装鋼板を採用しました。材料から一貫生産を行う弊社ならではの強みも活かしたものづくりになったかと思います。
伊藤:大森さんたちには、しっかりと私たちの思いが伝わっていて、きめ細かな気遣いで対応していただけたので感謝しかありません。離れてみたときの全体の佇まいがとても美しく、重厚感のあるガレージができあがりました。「ただ鉄板を組み合わせた箱」という印象は微塵もない。そこがまさに狙い通りで、私が絵を描いている段階から一番与えたかったガレージの印象です。予想以上の出来栄えに大満足ですね!